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2012年8月

2012年8月30日 (木)

『桐島、部活やめるってよ』

8月30日木曜日


『桐島、部活やめるってよ』を観る。
これで夏休みに見たかった映画はひと通り見た事になる。
その中では一番好きかも。
この映画に主役らしき人はいない。
登場人物の心の繋がりが全てバラバラだ。
思春期特有の精神のアンバランスさが
そのまま映画になったような印象だ。
でも、この作者(監督?)は、
そんな繊細な青春群像を描きたかった訳ではないだろう。
もっとしたたかだと思う。
神の目から突き放して見ている。
この映画の哲学的な解釈については、
俺は専門家でもないので、どっちでもいいのだが、
この映画を見ながら、
そういえば最近
『怒り新党』の寄せられる怒りメールの量が
尋常じゃなく増えた事について考えていた。
元々、何千通と来ていたのに、
夏休みに入ったからか、
10代からの怒りメールが急激に増え、
2倍から3倍近くになっている。
その内容については、こんなブログでは書けないが、
10代からの怒りメールを読んでいると、
こんな事で悩んでいた時期が確かにあったなぁ
と懐かしい気持ちになる。
友達のちょっとした事が気に食わない時期、
ちょっとした言葉を気にしていた時期。
それが番組にどれだけ反映させられるかはわからないが、
多感な頃の繊細な映画を見ていて、
ふとそんな事を考えた。
映画のクライマックスで、
イケてるグループの男の子と
イケてないグループの男の子が
8ミリカメラを通して交わるシーンがよかったな。
この二人は10年後、20年後、
プロ野球選手や映画監督になってるはずもなく、
あの頃こんな事にもがいていた事も忘れ、
普通の大人になっているのかな。

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2012年8月29日 (水)

頭の中でできている

夜。特番の会議。
その番組の演出の土井ちゃんは
ロコモーション時代からの長い付き合い。
そろそろロケや収録もせまってきているのに、
いつ会議に行っても進行表らしきものもなければ、
中身についての細かい話もないので、
俺が
「じゃ、土井ちゃん、頭から流れを整理していこうか」
と言うと、
土井ちゃん、ビックリした顔で
「もう出来てますよ。僕の頭の中で」
と言い放った。
あ、そうか、この男、台本いらないタイプだったんだ。
とはいえ、
他のDやPもいるのに全体の意思統一が全く出来てない上、
次回の会議ではスタジオ台本も書かなきゃいけないので、
頭から細かく流れをやる。
考えてみたら、
今一緒に仕事をしている総合演出のほとんどが、
台本はあくまで流れ、
頭の中でシュミレーションして、きっちり作ってくるタイプ。
長々と面白おかしいやりとりが書かれた台本を用意するタイプと比べると、
実はこっちの方がはるかに細かい。
優秀な演出家って、
作るものは違っても、
こういった根っこの部分ではみんな同じ事を言っている。
大丈夫、頭の中で出来てますから、って。

2012年8月20日 (月)

『おおかみこどもの雨と雪』

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ようやく『おおかみこどもの雨と雪』を見る。

『サマーウォーズ』のような

壮大なお話なのかと思ったら、

意外にシンプルな子育てのお話だった。

あと、いかに自然と向き合い、

どう折り合いをつけていくかというお話。

泣きはしなかったけど、

心地のいい映画だった。

『サマーウォーズ』に続き、

また田舎の日本家屋が舞台。

細田監督は富山出身。

大学も金沢美術工芸大学。

同じ北陸の人間だからか、

田舎の佇まいがしっくりくる。

どこか懐かしさすら感じる。

雪は夜の間に積もる。

朝起きたら、あ、雪だって感じとか。

物語の子供たちは

中1と小6(小5?)で、

ひとりは人間として、

ひとりはオオカミとして、

それぞれ親離れしていった。

うちの子も来年は中学。

もうそういう年なんだな。

2012年8月19日 (日)

『トガニ』

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悪いやつはとことん悪い。

全てが腐りきっている。

実話を元にしたこの映画『トガニ』は

怒りしかこみあげてこない映画だった。

面白いとか、よく出来ているとか、

もはやそういう問題ではない映画。

ただ、

後半の法廷から物語が盛り上がるにつれ、

法廷サスペンスとして秀逸なシーンもあっただけに、

実際のところはどうだったのだろう

と気になってしまった。

実話をベースとした映画は

作者がどこまで劇的にしていいのか、

難しい問題だと思う。

上映後、ロビーに出ると、

手話のカップルがいた。

彼らにとっては決して他人事ではないこの事件。

どういう思いでこの映画を観るんだろう。

映画は社会的弱者として描いているだけに、

世の中こんな悪いやつらばかりじゃないよ

と言いたかったが、

自分には手話が出来ない。

それがもどかしかった。

2012年8月12日 (日)

「わたしを離さないで」

DVDで『わたしを離さないで』を観る。

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原作の方はかなり忍耐を必要とする小説で、

想像を働かせなければいけない部分が多く、

映画を観るのは

言わばその答え合わせだったんだけど、

原作ではあれだけ長かった子供時代を、

映画ではサクサクっといったりなんかして、

はじめは戸惑ったが、

観終わってみればかなりいい映画だった。

個人的にも全編に漂ってる

“死を背負って生きてる人たちの哀しさ”は、

相当好きな世界。

隔離されたような現実感のない風景が、

ちょっと日本海独特の孤独な風景とも似ていて、

心グラつかされるものがあった。

ただ、

原作の中で最も重要じゃないかと思うシーンが、

映画の中にはなかったり、

逆に原作の中では

あまり具体的に描かれてなかった手術シーンが

映像化されてたりなんかして、

そうかこれは原作と映画で

初めてひとつの感動になるんだな、

長かったもやもやがようやく完結してくれた。

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前日は先行ロードショーで、

リドリー・スコットの『プロメテウス』を観る。

劇場で観る分には面白い映画だったが、

かなり不思議な映画でもあった。

人類誕生の謎がわかるというか、

エイリアン誕生の謎がわかる映画。

『エイリアン』シリーズの面白かった要素が

随所に盛りこまれていて、

相変わらずヒロインは圧倒的に強かった。

傑作か駄作かで言えば、きっと駄作なんだろうけど、

こういう歯止めがきかなくなってしまったような駄作は好きだ。

2012年8月11日 (土)

『星々の舟』

やはり読書は人から薦められたものに限る。

自分が選ぶと

いつも同じ作者の本になってしまう。

映画とか服とか居酒屋のメニューと一緒だな。

ツイッターでどなたかに薦めてもらった

村山由佳さんの『星々の舟』。

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ちょうど去年の夏、

この人の『ダブル・ファンタジー』を読んで、

中年の恋愛ものはしんどいなと

上巻の途中でやめてしまっていたので、

あんまり期待せずに読み始めたのだが、

ある家族のそれぞれのお話を紡いだ

この短編連作小説。

色んな球種のボールを見せられながら、

最後にズドンと重い球がど真ん中に来た。

確かに僕の年代からみた老人は、

今の老人とは違い、どこか重い。

どこかに戦争を引きづっているのだろう、

あまり多くを語りたがらない時があった。

家族はお互いよく知ってるようで、

実は知らない事が多い。

もうじき終戦記念日。

お盆の時期にこの本を読んだのも何かの縁か。

祖母の想い出にふけってみたいと思った。

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